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原油価格上振れも 電気・原材料に波及の恐れ


原油価格上振れも 電気・原材料に波及の恐れ NY原油相場の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 イスラエルによるイランへの反撃で中東情勢が一層緊迫化し、日本国内でも19日、経済や生活への影響が懸念された。日本は原油輸入の約95%を中東に頼り、8割近くはイランに面するホルムズ海峡を通る。東京商品取引所では、中東産原油の先物価格が上昇。電気料金や企業の原材料コストに波及しかねないとの不安も出ている。
 中東産原油の先物は19日、株価終値に相当する指標価格の清算値が1キロリットル当たり前日比960円高の8万460円を付けた。ニューヨーク原油先物相場も、指標となる米国産標準油種(WTI)の5月渡しが18日夜の時間外取引で、一時1バレル=86ドルを超えた。
 楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは、イスラエルとイランの間での直接攻撃は異例で、想定を超えて事態が悪化していると指摘。「原油価格は短期的に上振れる恐れがある」と話した。
 電気事業連合会の林欣吾会長=中部電力社長=は19日の定例記者会見で発電燃料となる液化天然ガス(LNG)などの価格も高騰する懸念があると言及。電気料金は資源価格の変動を反映する仕組みがある。林氏は警戒感を示しつつ「(高騰の影響を)回避する対策を各事業者が講じていると思っている」と語った。
 一方、ガソリンなどの燃油価格は、政府の価格抑制のための補助金が継続しており、大きく変動しない見込み。