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鶏卵卸売価格、4割下落 鳥インフルの供給難緩和


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鶏卵の卸売価格が、昨年のピーク時から約4割下落している。鳥インフルエンザの感染拡大による供給難で一時高騰していたが、農場での生産が増えたことが一因だ。ただ、供給難で鶏卵の使用が大幅に減った加工向けの需要回復が遅れているとの指摘もあり、価格がさらに下がる可能性もある。
 鳥インフルは昨季(2022年10月~23年4月)の殺処分対象が、過去最多となる約1771万羽に上った。発生した場所の多くが採卵鶏農場で、鶏卵の供給が減少し、価格の高騰を招いた。
 今季の鳥インフルは昨年11月に国内1例目が確認されて以降、今年4月10日時点で約79万羽が殺処分対象となっている。
 JA全農たまごによると、鶏卵の卸売価格(東京地区、Mサイズ基準値)は、23年4月と5月の月平均が1キロ当たり350円で比較可能な1993年以降で最高値となった。その後は落ち着き、今年3月は211円となった。近年の3月の月平均は、21年が220円、22年は195円、昨年は343円だった。
 農林水産省の関係者は「採卵鶏の再導入が進んだことや、減少した加工用の需要が回復していないことから価格が下がった」と説明する。
 鶏卵の供給不足や卸売価格上昇が響き、日本養鶏協会によると、加工や外食産業による鶏卵を使った商品の販売中止や、原材料に鶏卵の代替品を使用した商品開発が進み、需要の回復が遅れているという。24年の鶏卵の生産量は前年より約10万トン多い約240万~250万トンになる見通し。卸売関係者は「ブレーキがかかった需要を取り戻している段階」と話す。協会は加工産業での需要が引き続き低く推移した場合は「需給が緩み、卸売価格の軟調が続く可能性がある」とした。