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5%賃上げ 中小は2割 全国


5%賃上げ 中小は2割 全国 5%以上賃上げ企業の割合
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 2024年度に基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給とを合わせた賃上げ率が「5%以上」に届いた中堅・中小企業の割合は24・4%だったことが22日、財務省の調査で分かった。大企業では53・8%に達しており、依然として大きな格差が目立つ。人件費を価格に転嫁できていない中堅・中小企業は50・2%に上り、賃上げの原資確保に苦慮している様子も浮かんだ。
 人手不足や物価高を背景に賃上げの動き自体は中堅・中小企業でも広がっているが、連合が春闘方針で掲げた「5%以上」の賃上げへのハードルは高い。雇用の約7割を占める中小企業での待遇改善は、日本全体での景気回復の鍵を握る。
 財務省によると、中堅・中小企業で5%以上の賃上げを決めた割合は、前年度に比べて11ポイント上昇した。これに対し、大企業では27・7ポイントの上昇だった。ただ、24年度にベアがあった中堅・中小企業は8・8ポイント上昇の63・1%に増えた。
 全体での賃上げの理由(複数回答可)は「社員のモチベーション向上、待遇改善、離職防止」(86%)が最多。「物価上昇への対応」(67%)、「新規人材の確保」(54・9%)が続いた。みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「定期昇給の伸びに業態で差はあるが、賃上げは加速し、裾野が広がっている」と指摘した。