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空港混雑緩和狙う 転売防止との両立課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が検討している消費税の免税制度の見直しでは、不正転売防止の実効性確保と、空港で懸念される混雑の解消を両立できるかどうかが課題となる。訪日客の免税品購入では現金利用がなお多い。キャッシュレスによる還付が進まず、現金での還付を求める出国者が時間ぎりぎりに手続きに殺到するなどすれば、出発便の遅れにつながる恐れもある。今後の制度設計の焦点となりそうだ。
 財務省によると、2022年度に税関でのチェックで不正転売が発覚したのは367件・約22億円。だが法整備が不十分なため、その場で強制的に消費税を徴収できないまま出国させてしまうケースが相次ぎ、153件・約21億3千万円分は納付させられなかった。空港で現物を確認しきれない分もあるため「不正は、ほとんどがチェックをすり抜けている状態だ」(政府関係者)という。
 全国免税店協会の会長で、免税店チェーン「アッキーインターナショナル」を営む阿部英行社長は「まずは不正を根絶することが重要だ」と指摘。商品購入時にいったん消費税も含めた支払いを求める還付方式への変更に期待を寄せる。
 ただ現状では、来店する訪日客の「約4割が現金利用者」のため、空港で還付手続きに混乱が生じるのではないかと懸念する。訪日客の増加で「今でも保安検査に時間がかかっている」といい、税関職員の増強などとともに、キャッシュレス決済への移行を促すことが重要となる。