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IHI 燃費データ改ざん エンジン4000台超、80年代からか


IHI 燃費データ改ざん エンジン4000台超、80年代からか IHI原動機によるエンジンの燃費に関するデータ改ざんを謝罪するIHIの盛田英夫副社長(中央)ら=24日午後、東京都江東区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 IHIは24日、子会社のIHI原動機(東京)が船舶用や陸上用のエンジンの燃費に関するデータを改ざんしていたと発表した。改ざんは国内の2工場で行われ、このうち新潟内燃機工場(新潟市)では1980年代後半に始まった可能性がある。データが確認できる2003年以降だけで国内外に出荷された計4361台に上り、納入先には海上保安庁やJR北海道が含まれている。内部告発により判明した。
 もう一つは太田工場(群馬県太田市)で、01年から続いていた可能性がある。国土交通省はIHIとIHI原動機に対し全容解明と再発防止策の策定を指示し、5月末までの報告を求めた。立ち入り検査などで事実関係を調べる。
 IHIの盛田英夫副社長は東京都江東区の本社で記者会見し「多大なご心配をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪した。改ざんは性能に影響するものの、安全性への疑義は現時点で確認されていないとしている。
 改ざんされたのは試運転時の計測データ。納入する際に数値を良く見せたり、ばらつきを整えたりしていた。改ざんされたうち2058台が顧客と定めた仕様を満たしていなかった。海外向け船舶エンジンでは窒素酸化物(NOx)規制の基準を逸脱している恐れがある例もあった。データは既に是正し、出荷は続けていると説明した。
 海保の巡視船やJR北海道の列車のほか、各都道府県が保有する漁業練習船にも搭載されたとみられる。IHIは調査中を理由に、具体的な船舶名や列車の型式などの説明を避けた。補償に向けた交渉を進める。
 24年2月下旬にIHI原動機の従業員から内部告発があり判明した。関係者への聴取では「前任者から引き継いだ」との証言もあった。IHIは弁護士ら外部有識者を中心とする特別調査委員会を近く設け、関係者の処分などを決める。
 IHIは19年にも航空機エンジン部品の製造工程で不正な検査があったことが発覚、国交省から業務改善命令を受けた。

<用語> IHI 1853年創設の石川島造船所を源流とし、現在は航空用ジェットエンジンや産業用機械、トンネルをはじめとする交通インフラなどを手がける日本有数の重工業メーカー。旧社名の石川島播磨重工業の英文表記「Ishikawajima Harima Heavy Industries」に基づき、2007年に現社名になった。23年3月期連結の売上収益は1兆3529億円、同3月末時点の従業員数は約2万8千人。