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先端技術移転に報告義務 経産省方針 軍事転用防止へ規制


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 経済産業省は24日、民間企業などが量子関係といった先端技術を海外に移転させる際に、現在の外為法で規制対象外となっていても、同省への事前報告を義務づける方針を発表した。ロシアや中国を念頭に、日本が優位性を持つ分野の技術が軍事転用されたり、流出したりする危険を防ぐ狙いがある。さらに、先端分野でなくても通常兵器への転用が懸念される物品などの輸出規制を強化し、転用可能性の有無を調査するよう求める。
 今後、外為法の省令を改正し、悪質な違反には罰則を科す。
 外為法は原子力や化学兵器、先端素材など15分野の技術について規制リストの対象とし、海外移転する場合は経産省の許可を求めている。今回はリスト対象外でも兵器開発などに使われる恐れがある場合に同省の許可を必要とする「キャッチオール規制」を強化する。
 事前報告は、日本が優位性や不可欠性を持つ先端技術のうち、リスト規制の対象外となっている一部で導入する。取引時点では民生利用目的であっても、将来的に軍事転用につながる懸念があるものなどを想定する。具体的な対象項目は今後、業界団体などと協議して決める方針だ。
 経産省は企業側からの事前報告を受け、取引先企業や地域に関する懸念情報などを提供。軍事転用といった懸念が残ると判断した場合は、追加で許可申請を求める。
 先端分野以外でも、ロシアのウクライナ侵攻で無人機(ドローン)などに汎用(はんよう)品が使用されていることを念頭に、輸出する物品や技術について転用可能性の調査を求める。通常兵器の開発や製造に使用される恐れがあると輸出企業が判断した場合は、許可申請が必要となる。
 「大川原化工機」の社長らが外為法違反事件で起訴を取り消されたケースの再発を防ぐため、経産省は「懸念の高い取引を判断するための基準」を公表し、企業が違反に当たるかどうかの判断で困惑しないようにする。