有料

3000社超に荷待ち削減義務 軽貨物の安全対策強化


3000社超に荷待ち削減義務 軽貨物の安全対策強化 トラック運転手の荷待ち時間対策の流れ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 トラック運転手の時間外労働規制適用に伴う「物流の2024年問題」への対応策を盛り込んだ改正関連法が26日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。運転手が配送拠点などで待機する荷待ち時間の削減に向けた計画策定を荷主企業などに義務付け、仕事の効率化につなげる。対象は3千社を超える見込み。事故が急増している軽貨物運送事業者の安全対策も強化する。26年度までに全面施行する。
 計画策定義務化の対象となる企業の基準は政令で定める。国土交通省は、荷主のメーカーなど約3千社のほか、トラック事業者約400社などと想定する。
 計画の進み具合が不十分な場合、国は是正を勧告。従わなければ社名の公表や是正命令ができる。命令違反には最大100万円の罰金を科す。
 軽貨物事業者には、講習を受けた安全管理者の選任や国への事故報告を義務付ける。インターネット通販の普及で個人ドライバーの参入が相次ぐ一方、死亡・重傷事故が6年で倍増したことが背景にある。
 運送業界で常態化している多重下請けの弊害を是正し、適正な運賃を受け取れる環境整備も進める。多重下請けでは末端に行くほど受注額が減る傾向にあり、低賃金の一因となっている。
 実際に荷物を運ぶ業者を把握できていない元請けもおり、下請け状況が分かる管理簿を元請けに作成させる。管理簿には、実際の運送業者や何次の下請けかなどを記載し、1年間保存させる。
 荷物の仕分けや陳列など契約にない作業を迫られ、対価を得られない下請けもおり、委託時に契約内容を明記した書面の交付を義務化する。