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シャープ堺工場、一部停止へ 6月、不振の液晶事業縮小 将来の完全停止を視野


シャープ堺工場、一部停止へ 6月、不振の液晶事業縮小 将来の完全停止を視野 シャープ本社(手前左)と堺ディスプレイプロダクト(右奥)=堺市
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 シャープは、大型液晶パネルを製造する完全子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)について、6月から生産を一部停止する方針を固めたことが26日、関係者への取材で分かった。液晶ディスプレー事業の不振により、シャープは通期の純損益が2年連続で赤字となる見通し。液晶事業を縮小し、財務基盤の改善を急ぐ。将来の完全停止を視野に入れており、今後も調整を続ける。
 SDPについては、取引銀行などが生産の全停止を求めたもようだが、パネルを供給する取引先への影響が大きいため段階的に停止する方針。5月15日に発表する中期経営方針で、停止に向けた工程を踏み込んで盛り込めるかどうかが焦点となる。
 SDPは2023年3月期に2千億円超の損失を出し、連結純損益が6年ぶりの赤字に転落する最大の要因となった。これまでSDPの売却先を探してきたが難航。6月から一部製品の生産を停止する方向で、取引先と調整している。
 液晶事業では国内にSDPのほか白山工場(石川県白山市)、亀山工場(三重県亀山市)、三重工場(同県多気町)があり、車載やタブレット向けの中小型液晶パネルを製造している。中小型も業績が低迷しており、3拠点の事業改善策についても親会社の台湾・鴻海精密工業と詰めの協議に入った。
 液晶テレビがヒットしたシャープは、09年に約4300億円を投じてSDPを稼働させた。だが、中国勢との価格競争が激化し、採算が悪化。SDPへの巨額投資が引き金となって経営危機に陥り、16年に鴻海の子会社となった。
 SDPの株式は鴻海創業者である郭台銘氏の資産管理会社などに段階的に売却して業績を立て直したが、22年に一転してシャープが買い戻し完全子会社化した。業績は一向に改善せず、個人株主からは買い戻しを疑問視する声が出ていた。