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玄海町、核ごみ調査採択 立地自治体初 町長「民意を反映」


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 佐賀県玄海町議会は26日の本会議で、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査の受け入れを求める請願を賛成多数で採択した。同町には九州電力玄海原発があり、原発の立地自治体の議会が核のごみ調査に関する請願を採択するのは初めて。議会が調査に応募すべきだとの立場を明確化したことに、脇山伸太郎町長は記者団に「民意が反映されており、重く受け止めている」と述べた。5月中に可否を判断したいとの意向も示した。
 飲食業組合や旅館組合など地元3団体が提出した3件の請願を一括で議決し、議長を除く町議9人のうち6人が賛成した。町議会の原子力対策特別委員会が25日に請願を採択していたが、反対派町議は本会議で「将来の子どもたちに核貯蔵施設の上に暮らさせてはいけない」と訴えた。
 文献調査の事業主体、原子力発電環境整備機構(NUMO)は26日「前向きな判断は誠にありがたい。地域の皆さまに誠意を持って説明する」とのコメントを発表した。
 脇山町長は、特別委での議論をケーブルテレビで放送するなど、住民への周知期間を設ける考えを表明した上で「熟考しないといけないが(結論を)引き延ばすのもいけない」と説明した。
 飲食業組合の川崎隆洋組合長(53)は採択を受け「思いが届いた」と歓迎し「あとは町長の判断に任せるしかない」と取材に語った。
 一方、佐賀県の山口祥義知事は26日の定例記者会見で最終処分場の受け入れについて、玄海原発を念頭に「(佐賀県が)そこまで負担を負うのはバランスが悪い」と強調。玄海町に隣接する唐津市の峰達郎市長は同日の会見で突然の核のごみ議論に「ひょっこり湧いたような話」と困惑した表情を浮かべた。
 文献調査は処分場の候補地を選ぶ3段階あるプロセスの第1段階。受け入れると国から最大20億円が交付される。一部町議は核のごみ問題の全国的な議論喚起を目指しており、交付金目当てを否定している。