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 スポーツ、エンタメ界活況 チケット高騰 不安も コロナ5類移行1年  


 スポーツ、エンタメ界活況 チケット高騰 不安も コロナ5類移行1年   バスケットボールBリーグ1部の平均入場者数の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが「5類」に移行して8日で1年。イベント中止や観客減に見舞われたスポーツ界やエンターテインメント業界に活気が戻っている。観客動員は堅調で、関係者は市場規模の拡大に手応えを示すが、チケット価格の高騰など先行きに不安も抱える。

勢い

プロスポーツで、コロナ禍前を超える観客を集め、勢いがあるのはバスケットボールのBリーグだ。収容数千人規模の会場がびっしりとファンで埋まる試合が目立つ。今季のB1は平均入場者数(4月28日時点)が4595人。コロナの影響が出る前の2018~19年シーズンの3078人を大きく上回り、全24クラブ中20クラブが1試合の最多入場者数を更新した。昨季の322万人が最多だった総入場者数(B2も含む)は、今季は400万人超の見込みだ。
昨夏の沖縄でのワールドカップ以降、競技への関心が高まったことが大きい。群馬、佐賀両県では地元クラブの本拠地となるアリーナが開業したことも、大幅な観客増につながった。島田慎二チェアマンはバスケ観戦の魅力が浸透し始めているとし「こんなに(選手との)距離感が近いのかと感じる人もたくさんいる」と人気定着に自信をのぞかせる。

野球やサッカーのスタジアムもにぎわいを取り戻した。「今年は過去最高の(観客数の)数字を目指している」(野々村芳和チェアマン)というJリーグは4月21日時点でJ1、J2、J3の総入場者数が269万8232人。年間最多の1039万7482人の観客が詰めかけた19年の同時期と、遜色ない数字だ。

復活

19年に過去最多の2653万6962人を記録したプロ野球の観客数は、コロナ禍の20、21年は人数制限などで1千万人を割ったが、声を出しての応援も解禁された23年は約2500万人まで客足が戻った。今年はそれ以上のペースで来場しており、日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長は「順調に復活している」と話す。
音楽ライブの主催業者らでつくるコンサートプロモーターズ協会によると、23年の市場規模は、動員数がコロナ禍前の19年との比較で13・7%増の5632万人。売上額は40・2%増の5140億円に達した。Kアリーナ横浜など大型ライブ会場の開業や、人気のKポップアーティストの大規模公演が増えたことなどが好調の背景にある。

懸念

ただ、ライブなどの公演数がコロナ禍前を上回ったのは関東、東海、関西の3地区に限られ、協会は「全国的な市場の回復には至っていない」と指摘する。
人件費や運送コストの上昇、円安の影響も重くのしかかる。スポーツ界でも一部でチケット価格上昇の傾向がみられる。海外アーティストの公演を主催する音楽関係者は「人員と機材の確保も難しくなっている。円安も大きな要因で、これらの要素をチケット代に反映せざるを得ない」と回復基調に水を差しかねないことを危惧した。