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日本郵便と西濃 共同輸送 長距離路線、24年問題対応 トラック混載、効率化


日本郵便と西濃 共同輸送 長距離路線、24年問題対応 トラック混載、効率化 共同輸送のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本郵便と西濃運輸が長距離路線の共同輸送に乗り出すことが6日、分かった。1台のトラックに両社の荷物を混載して、輸送を効率化する。トラック運転手の残業規制により物流が滞る「2024年問題」への懸念に大手2社が連携して対応する。
 両社は2~3月、東京―大阪間など限られた区間で共同輸送を試験的に実施。「配達日数を変えずにトラックの台数を減らせる」(日本郵便)ことを確認していた。両社が毎日走らせる約1万台の長距離トラックを対象に、今後全国へ広げる計画だ。
 具体的には、1台のトラックが同じ地域にある2社の拠点に立ち寄って荷物を積み、それぞれの拠点まで運ぶ。運転手の拘束時間が長くなる長距離路線のみを対象とし、店舗や個人宅といった配送先と拠点を結ぶ近距離の輸送は引き続き各社が担う。
 実施路線はトラックの積載量が少ない区間を中心に、輸送を委託する協力会社の意向なども踏まえて決めるが、具体的な開始時期は未定。トラックの形状や荷物を運び込む拠点での対応など両社で異なる点もあり、詳細を詰める必要もある。こうした課題の解決を前提に、2社以外の日本通運などの大手に協業を呼びかける構想もある。
 日本郵便は「ゆうパック」、西濃運輸は「カンガルー便」などで知られる。日本郵便はこれまでに佐川急便とも共同輸送の試みを始めているが、東京―郡山(福島県)間など一部区間をトラックで、関東―九州間をフェリーで輸送するといった限定的な取り組みにとどまっている。

<用語> 物流の2024年問題 トラック運転手の時間外労働の上限を年960時間とする規制が4月から始まったことで、輸送力の低下が懸念されている問題。労働環境の改善が期待される一方、配送の遅れが発生したり、配送料が高騰したりする恐れがある。長時間労働や低賃金、高齢化などで物流業界の人手不足が深刻化していることが背景にある。