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北海道・ニセコ町 タクシー不足解消へ実験 レンタカーと運転手、客仲介


北海道・ニセコ町 タクシー不足解消へ実験 レンタカーと運転手、客仲介 「ドライバ」の仕組み
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国際的なスノーリゾート・北海道ニセコ町で1~3月、レンタカーと運転手、乗客をマッチングするサービスの実証実験が行われた。4月以降に東京などで解禁された「日本版ライドシェア」と同様、全国各地で深刻化するタクシー不足の解消につなげるのが狙いだ。ただ専門家は「運転手の待遇を良くして安全性を高めることを忘れてはならない」とくぎを刺す。
 サービスは帯広市の企業「エアシェア」が提供する「DRIVA(ドライバ)」。客はオンラインで利用日時や目的地などを入力し、運転手と車をそれぞれ契約する。地元住民らは空き時間を、レンタカー会社は稼働していない車を活用できる。国土交通省によると、この場合は違法な「白タク行為」には当たらず、第2種免許も不要だ。
 一方、一般ドライバーが有償で客を運ぶことは一定の条件下で以前から認められている。ただ報酬の低さが課題だった。
 秋田県上小阿仁(かみこあに)村では、「公共交通空白地」での国の登録事業者として、NPO法人が約20年前から25~30キロほど離れた北秋田市のJR駅周辺までスタッフの自家用車を運行。料金は往復二千数百円で、代表の萩野芳紀さん(75)は「これだけで生活できるほどの収入はなく、後継者確保が難しい」と話す。
 相乗りでガソリン代など実費を徴収することも違法ではない。北海道天塩町は仲介サービス「notteco(のってこ)」を利用し、約70キロ離れた稚内市までの移動を支える。しかし収入にはつながらず、町の担当者は「稼働できる人は少ない」と打ち明けた。
 この点、ドライバでは料金を自由に決められる。実証実験では、レンタカー使用料は1時間8500円から、運転報酬は同4千円を目安額に設定。外国人客ら、のべ300人以上が利用した。
 同社は長野県白馬村といった全国のリゾート地などに展開したい考えで、家庭用の車の活用も検討中だ。進藤寛也代表(39)は「公共交通機関が少ない移動困難地域を減らし、足りないタクシーを補完したい」と話す。
 名古屋大大学院の加藤博和教授(公共交通政策)は「ニセコのように高い需要がある地域は別として、ギグワーカー(単発で働く人)が少ない過疎地で事業を継続できるかは注意する必要がある」と指摘する。
 その上でライドシェアを含む新しい形態の交通手段について「消費者の中には抵抗を感じる人もいるはず。一定以上の賃金を確保し、安全性の担保やサービスの向上につなげるべきだ」と話す。