日本での本格的なコンビニチェーン誕生から15日で50年。暮らしに欠かせない社会インフラとして消費者を支える一方、人口減少による危機も迫っている。各社は社会変化で見込まれる収益減や人手不足に対応しようと、従来の姿からの脱却に挑戦。あの手この手で、新たな働き方や存在価値を模索している。
アバター
「いらっしゃいませ、こんにちは」。東京都内のアパート自室で4月、ローソンのアルバイト店員中島志乃さんが声を張り上げていた。生の声が届く先は、遠く大阪や福岡などにある実店舗だ。
中島さんの表情やしぐさがアニメキャラを模したアバター(分身)として、店舗側のセルフレジにある液晶画面に現れる。操作に困っている人に声をかけるのが主な業務だ。「場所や身体の障害などの事情にとらわれない新しい働き方として広がってほしい」。ローソンは既に8店舗でアバターを導入。省人化へ今後も拡大を検討する。
収入源
新たな収入源を得るための努力も広がる。
ファミリーマートでは全店舗数の6割に当たる約1万店舗で、レジ上部に広告を流すデジタルサイネージ(電子看板)を設置。自動車メーカーや保険会社などからも引き合いがある。
ローソンは外食デリバリーに力を入れる。ウーバーイーツのアプリなどで注文を受け、ローソンの従業員が店内で調理。関東を中心に80店舗に展開している。
公共性
セブン―イレブン・ジャパンは店舗の面積を2倍に増やした大型コンビニを千葉県で2月にオープン。魚や肉などの生鮮品を置き、過疎化などで今後各地で増加が見込まれる買い物難民に対応したい考えだ。主に地方の店舗で生鮮品の拡大を検討している。
コンビニ業界に詳しい武蔵大学の土屋直樹教授(経営学)は「人口減や高齢化でコンビニの公共的な役割は一層増すだろう」と指摘した。