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電力供給拡充を本格検討 政府 半導体投資呼び込みへ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は来週にも「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」を再始動し、人工知能(AI)開発拠点や半導体関連企業の投資呼び込みに向け、電力供給の拡充策を本格検討する方針を固めた。岸田文雄首相が具体化に向けた協議を関係省庁に指示する。複数の政府関係者が8日、明らかにした。
 生成AIの普及に伴うデータセンターの運用や、半導体生産には大量の電力を必要とする。国際的な産業競争力を強化するためには電力安定供給の体制整備が不可欠となっている。
 GX実行会議の開催は昨年12月以来。電力の供給基盤強化に向けて必要となる法整備の必要性を洗い出す。電力会社による設備投資を促すため、脱炭素関連の債務保証の活用も議題とする。電力需給逼迫(ひっぱく)の解消も目指す方向だ。
 政府は電力の供給源に関し、稼働を停止している原発や二酸化炭素(CO2)の排出削減措置を講じた石炭火力発電の有効活用を想定する。原発の稼働は33基中12基にとどまっている。停止中の石炭火力発電所も多い。経済官庁の関係者は「これらを活用することで、電力需要増に対応できる」と指摘する。
 米IT大手のマイクロソフト(MS)は4月、日本に2年間で29億ドル(約4400億円)を投資し、生成AIの高速処理に欠かせないデータセンターを増強すると発表。オラクルも日本国内のデータセンター増強へ10年間で約1兆2千億円以上を投資する計画を示した。