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物価上振れ 早めに利上げ 日銀総裁、為替影響を意識


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 日銀の植田和男総裁は8日、東京都内で講演し、消費者物価の見通しが上振れする場合は「金利を早めに調整していく」と述べ、情勢次第で追加利上げを急ぐ必要があるとの考えを示した。過去と比べ「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」と指摘し、円安進行による物価上昇のリスクを意識すると強調した。足元の歴史的な円安により、輸入品価格が押し上げられる可能性がある。植田氏は、企業がコスト上昇分を製品価格に転嫁したり、物価高に対応して賃金を引き上げたりする動きは「積極化している」と述べ、物価が想定以上に上振れする可能性に言及した。
 日銀は2024年度の消費者物価上昇率は前年度比2・8%、25年度と26年度はいずれも1・9%と見込んでいる。植田氏は一方で、物価見通しが下振れするリスクが高まれば「現在の緩和的な環境をより長く維持していく」とも語った。長期金利の急上昇に備えるための国債の購入を巡っては「大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額していくことが適当だ」と説明した。