トヨタ営業利益５兆円超　日本企業初、ＨＶけん引

　トヨタ自動車が８日発表した２０２４年３月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前期の約２倍に当たる５兆３５２９億円と過去最高を更新した。ＳＭＢＣ日興証券によると、営業利益が５兆円台に達するのは日本企業で初めて。ハイブリッド車（ＨＶ）の販売増や値上げ、円安が寄与した。売上高は２１・４％増の４５兆９５３億円、純利益は約２倍の４兆９４４９億円といずれも過去最高を更新した。
　同時に発表した２５年３月期の業績予想は、売上高が前期比２・０％増の４６兆円、営業利益を１９・７％減の４兆３千億円、純利益を２７・８％減の３兆５７００億円とした。電気自動車（ＥＶ）や人工知能（ＡＩ）、従業員の環境改善などへの投資に約２兆円を投じることから減益となる。
　２４年３月期の営業利益は、採算性の高いＨＶの販売が好調だったほか、性能向上に伴う値上げなどによる増益効果が２兆円と大きかった。為替の円安も影響が大きく、６８５０億円の増益につながった。輸出企業であるトヨタの円換算のもうけが膨らんだ。
　これまでの営業利益の最高だった２２年３月期の２兆９９５６億円を２兆円余り上回った。
　連結販売台数は世界各地で増加したが、国内はグループで相次いだ認証不正問題の影響で減少した。東京都内で記者会見を開いた佐藤恒治社長は２４年３月期の好業績を「多くの関係者の努力が実った結果だ」と振り返った上で、２５年３月期は「不正問題などに正面から向き合い、足場固めに取り組む」と強調した。
　２４年３月期のレクサスブランドも含むトヨタ単体の世界生産台数は９９７万２千台、世界販売台数は１０３０万９千台でいずれも過去最高だった。２５年３月期はそれを超え、世界生産が１千万台、世界販売が１０４０万台になると見通した。ＥＶ需要は一巡が指摘されるが、世界販売を２６年に１５０万台とする計画について佐藤氏は「基本的にはペースを変えていない」と述べた。