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就労増へ年金見直し 経済諮問会議 骨太方針の議論本格化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は経済財政諮問会議を23日開き、6月の策定を目指す経済財政運営の指針「骨太方針」の議論を本格化した。年金制度の見直しなどで高齢者や女性の就労を増やすことや、中小企業の賃上げの後押し、デジタル関連の投資促進、財政健全化目標が主要な論点となる。岸田文雄首相は「人口減少による成長の下押しを克服していくことが必要不可欠だ」と述べた。
 経団連の十倉雅和会長ら民間議員は提言で、65歳以上とされることが多い高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべきだと提案し「働き方に中立的な年金制度の構築」を主張した。高齢者が働く意欲を失わないよう、65歳以降の賃金に応じて厚生年金が減る「在職老齢年金制度」見直しなどが念頭にあるとみられる。
 厚生労働省は今夏、年金の長期的な給付水準を点検する「財政検証」の結果を公表する予定で、政府は結果を踏まえ制度改正が必要かどうか判断する。
 提言では、高齢者を含めた全世代対象のリスキリング(学び直し)を、官民一体で後押しすることを訴えた。今年は東京一極集中是正や人口減少克服に向けた政府の「地方創生」の本格化から10年の節目で、これまでの取り組みの検証を踏まえた魅力的な地域づくりの推進を促す。
 物価高が長引き、中小企業の賃上げも課題だ。諮問会議ではこれまで、人件費の価格転嫁を促進することが重要との意見で一致しており、政府は「買いたたき」を取り締まる下請法改正で対応する。生産性向上へ人工知能(AI)やデジタル関連の投資も重要テーマとなる。
 基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度に黒字化する目標の扱いも焦点だ。自民党の財政規律派は堅持を訴える一方、積極財政派は撤廃を求めている。26年度以降の目標の内容も問われる。