食料危機の恐れがある場合に、政府が農家に生産拡大を要請し、増産計画を届け出るよう指示できる新法「食料供給困難事態対策法」が14日の参院本会議で与野党の賛成多数により可決、成立した。首相をトップとした全閣僚による対策本部を設置し、供給目標を定める。コメや小麦、大豆などが対象になる見通しで、農家が指示に従わない場合に罰金などを科す。
異常気象やウクライナ危機などで世界的に食料生産が不安定化し「国内の供給量が大幅に不足するリスクが増大している」(農林水産省)ためで、危機の兆候を把握した段階で早期に対応する。自民、公明両党と日本維新の会が賛成した。
農家への要請や、消費者にどう情報発信するかなどの基本方針を2025年中にまとめる。
輸入の促進も同様の扱い。計画通りに生産や輸入ができなくても罰則の対象にはならない。
政府は対象となるコメなどの「特定食料」を政令で定め、生産量や輸入量だけでなく、在庫量も平時から把握する。対策本部を設置した後は、農家や輸入業者に生産、輸入の拡大を要請。不十分な場合に生産計画などの提出を指示する。必要なら計画変更も命じる。
国会では、農家が望まない作物の生産を求められるとの懸念も示された。立憲民主党や共産党、国民民主党は反対した。
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政府、農家へ増産指示 新法成立 食料危機に備え
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琉球新報朝刊