島桑(シマグワ)を通して地域振興に力を入れる浦添市は19日、島桑の産学官研究成果をホームページで公表した。同市や沖縄工業高等専門学校などが2009年から進めてきた共同研究で、島桑が食後の血糖値上昇を抑制する科学的成果が得られたとして、同市や事業を譲り受けた沖縄美健販売(糸満市、宮国良和社長)は年度内に機能性食品表示の届け出受理を目指す。
健康食品としての付加価値を高め、関連商品の年間売上高は約3倍の5千万円を目標に島桑の販路拡大を図る。
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沖縄高専の伊東昌章教授によると、島桑に含まれる「1―デオキシノジリマイシン(DNJ)」は糖の吸収を抑え、食後に上がる血糖値の上昇を抑える機能が明らかになっている。実にはポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれており「抗老化(アンチエイジング)にも期待できる」という。これまでの島桑に関する研究成果は米国の「ジャーナル・オブ・フードサイエンス」などの学術誌にも掲載されてきた。
島桑事業を手掛けてきた浦添市は22年度に沖縄美健販売に事業承継した。同市を中心に島桑の県内生産量は、年間で生葉20トン、桑の実2トン。生産された葉や実を、お茶、ジャム、ワインなどに加工し、現在は同社が約10商品を展開している。その他、原料として卸販売し、ジェラートやパンなどに加工されているという。
同社は今後、無農薬栽培に加え、有機栽培の認証も取得する予定だ。安全性を担保することで付加価値のある商品開発を進め、県内外の食品メーカーなど販路を開拓し、24年度の島桑関連商品の売り上げは2千万円に上る見込み。
宮国社長は「エビデンスが証明されたことで、販路拡大に期待がかかる」と語った。
(與那覇智早)