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規制改革完了29%止まり 23年計画 実効対策課題に


規制改革完了29%止まり 23年計画 実効対策課題に 規制改革実施計画の措置状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が昨年6月閣議決定した規制改革実施計画で掲げた115件の見直し項目のうち、計画通り完了したことを示す「措置済み」の件数が今年3月末時点で33件と、約29%にとどまることが22日分かった。特に行政や司法手続きのデジタル化で、当初の想定以上に省庁間の合意形成や法整備が停滞したほか、先進技術や医療分野の目玉改革でも未実行の案件が目立つ。改革の実効性が問われそうだ。
 規制改革推進会議が5月末に公表したフォローアップ結果で、2023年計画の実施状況を整理した。実現に向けた検討を終えたものの措置を完了していない「未措置」が2件、検討途中で結論が出ていない「検討中」が78件で、合わせると全体の約7割を占めた。大手電力と送配電子会社の資本関係を切り離す「所有権分離」の計画はフォローアップ対象から外した。
 分野別の措置率は「共通課題対策」が約11%と特に低い。保育園の入所に必要な就労証明書の提出や、雇用保険制度の失業認定といった行政手続きのデジタル化が、予算不足などで停滞。民事訴訟や会社倒産、相続などの司法手続きでも遅れが目立った。
 「スタートアップ・イノベーション」も約22%にとどまった。スマートフォン決済アプリなどを使って賃金をデジタルマネーで支払う制度は昨年4月に解禁されたが、運営者の破綻時に利用者へ返金されるかどうかの審査が長引いている。
 「医療・介護・感染症対策」は約34%。医師の業務を看護師が一部受け持つ「タスクシェア」は目玉だったが、業界団体との調整に手間取り実行段階に至っていない。このほか「地域産業活性化」は約27%で、民泊に必要な各種書類の廃止・簡素化に向けた関係者の意見聴取が続く。「人への投資」は約46%だった。
 フォローアップ結果は、13年以降決定した計画についても措置状況を取りまとめた。
 13、15、16年の計画で「検討中」が各1件残り、22年計画では「未措置」「検討中」の合計が56件に上った。