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フリマの種苗 規制強化へ 匿名制限、不正輸出防ぐ 優良品種保護へ法改正も


フリマの種苗 規制強化へ 匿名制限、不正輸出防ぐ 優良品種保護へ法改正も イチゴの「東京おひさまベリー」(東京都提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ブドウやイチゴなど品種登録された種苗が主に個人間で商品を売買するフリーマーケットサイトで不正に取引されるケースを防ぐため、農林水産省が規制強化を検討していることが6日分かった。匿名の出品を制限し、輸出目的で種苗を保管する業者には刑事罰の適用を想定する。知的財産権を守り優良品種が海外に流出し日本の農産品の競争力が低下する事態を食い止める狙いだ。種苗法の改正を視野に入れる。
 フリマサイトでは無断増殖が疑われる種苗が多数出品されているという。農水省は長野県が登録するブドウ「ナガノパープル」、東京都登録のイチゴ「東京おひさまベリー」を無断で増殖、販売し罰金刑が科された例を紹介している。
 優良品種が海外で栽培されれば、日本の輸出力の低下につながる。農水省の有識者会合が6月にデジタル化に対応した優良品種の保護について提言したことを受け対策を議論していく。
 農水省によると近年、家庭で育てる種苗の需要が高まり、ネットでの取引が拡大していることが背景にある。種苗法に基づき農水省に登録された新品種を開発者の許諾を得ずに増殖、販売することは違法となる。
 海外からは、購入代行サイトなどを通じ国内のフリマサイトの種苗を注文できる。代行サイトの運営者が購入した種苗を国内の倉庫に一定期間保管した後、輸出できる仕組みがあり、現行の種苗法では実際に持ち出されるまで処罰できない。
 匿名で気軽に出品できることが事態を助長しているとみられ、適正な取引を促すため、法改正により登録品種には販売者情報の表示を義務付ける方向だ。