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三菱UFJ銀に強制捜査 TOB情報漏えい疑い


三菱UFJ銀に強制捜査 TOB情報漏えい疑い 情報漏えい疑惑の構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 三菱UFJ銀行の男性行員が、取引先の株式公開買い付け(TOB)に関する情報を公表される前に親族に漏らしたなどとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の疑いで同行本社などを強制調査していたことが9日、関係者への取材で分かった。関係者によると、少なくとも3社のTOB情報を漏えいした疑いがある。親族は伝達された情報を基に株の取引をし、数百万円の利益を得たとみられる。
 監視委は既に複数回男性を事情聴取。男性は監視委に対し「利益を得させる目的で未公表情報を伝えたことはない。日常会話の中で情報を口にしてしまったかもしれない」などと説明。監視委は東京地検への告発を視野に入れ、漏えいの経緯や目的を慎重に調べている。
 三菱UFJ銀は「当行が調査を受けたことは事実だ。調査に全面的に協力していく」とのコメントを出した。
 関係者によると、取引先の上場企業のTOB情報が、公表前に男性の親族に伝わっていた。情報が公開された後、株価は上昇したという。
 男性は一時期、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向しており、漏えいしたとされる情報の一部はこの間に入手した可能性がある。監視委は同社も強制調査した。
 三菱UFJ銀や系列証券会社を巡っては、監視委の調査で、顧客企業の未公表情報を無断で共有していたことが発覚。金融庁は6月、金商法に基づく業務改善命令を出した。
 金商法は、上場企業の会社関係者が職務上知った未公表の重要事実を、利益を得させる、または損失を回避させる目的で他人に伝えたり、株の取引を勧めたりする行為を禁じている。