東京に拠点を置く知育系アプリ開発のスタートアップ(新興企業)ワンダーファイが、カンボジアで幼稚園事業に乗り出した。内戦終結後も教育人材の不足が続く中、政府の認可を受けて幼稚園の教諭の育成を支援する。日本の教育を取り入れた幼稚園の運営を首都プノンペンで始めており、全国展開も見据える。
ワンダーファイは図形やパズルなど思考力を育てるアプリを開発してきた。幼い子どもらが使える教材を作成してきた経験から言葉を多用しておらず、利用者は欧米など150カ国以上で300万人に上る。
カンボジアでは国際協力機構(JICA)と実証実験し、アプリを使った小学生の知能指数(IQ)が向上したといい、一部公立小学校の授業にも導入されている。
経済成長を続けるカンボジアだが、政府やJICAによると、1970年代後半の旧ポル・ポト政権下で教員ら知識人が殺された影響が今も残っている。
発展を支える人材育成には教育環境や教員の質が課題だ。
だが教育・青年・スポーツ省のプラック・コサル幼児教育局長によると、公立の幼稚園教諭の育成機関は一つだけ。就学前に教育を受けている5歳児は65%に限られる。教員も足りず、ワンダーファイ現地法人の渡辺大貴代表は「専門知識のない住民が先生を務める地域もある」と話す。
幼稚園の運営は、日本で保育施設を手がける松山市の「マミーズファミリー」と連携。日本でのキャリアを持つ園長がスタッフを指揮する。受け入れ対象は2~6歳児で3月から日本人を含む約40人が通園。英語で教育を進めるが、一部希望者には日本語の学習やアプリ教材も使ってもらう。
プラック氏は広島大や静岡県の幼稚園などで研修を受けた経験があり、日本の幼稚園は「遊びを通して学びを実践していた」と話す。就学前に「相互に助け合う」学習姿勢の基礎を築く機会となることにも期待している。
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日本式幼稚園で教育改善へ カンボジア アプリ会社、人材育成
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琉球新報朝刊
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