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ロに不正輸出疑いで逮捕 大阪府警 水上バイク、軍事転用恐れ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 軍事転用の恐れがあるとして輸出規制されている水上バイクをコンテナ船でロシアに不正輸出したとして、大阪府警は10日、外為法違反(無許可の貨物輸出)の疑いで、貿易会社「アストレード」(大阪市中央区)代表取締役でロシア国籍のソワ・アンドレイ容疑者(38)=大阪府吹田市青山台3丁目=を逮捕した。ウクライナ侵攻を続けるロシアへの経済制裁以降、不正輸出容疑での逮捕は初めて。
 府警によると、「弁護士と相談して話す」と供述している。
 逮捕容疑は2023年1月、輸出規制の対象であることを知りながら、経済産業相の許可を得ずに水上バイク4台や船舶用エンジン、中古二輪車18台など27点(計約4300万円)を、コンテナ船で大阪市住之江区から韓国・釜山港を経由してロシア・ウラジオストク港に輸出した疑い。
 同社は他国を経由せず、ロシアなどに日用品などを直接輸出していた。一方、経済制裁後の22年7月以降、それまで一度も取引のなかった複数の韓国企業へ輸出すると税関に申告。コンテナを韓国経由でロシアに約40回輸出していた。府警は申告が虚偽で、ほかにも輸出規制品が含まれていた可能性もあるとみて、実態解明を続ける。
 民間調査会社によると、同社は10年4月に設立。経済制裁後の同社の23年3月期売上は約23億円で、前年比約2・5倍だった。
 水上バイクは船舶の一種で、経産省が外為法に基づいて定めた輸出貿易管理令で規制対象となっている。
 国はロシアへの経済制裁として22年3月に軍事転用の恐れのある半導体などの製品を禁輸対象にした。その後も、化学兵器に関連する物品やハイブリッド車(HV)といった産業基盤を支える品目を禁輸にするなど、制裁を強化してきた。