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定額減税「二重取り」も 1人8万円 政府「防止に負担」


定額減税「二重取り」も 1人8万円 政府「防止に負担」 定額減税の「二重取り」になるケース
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鈴木俊一財務相は12日の閣議後記者会見で、6月に始まった定額減税で、1人で2人分に当たる8万円の減税効果を受けられる「二重取り」のケースが生じることを明らかにした。政府は、事務を担う自治体や企業の負担を考えるとやむを得ないとの考えだが、不公平との指摘も出そうだ。
 定額減税は、所得税と住民税で1人当たり計4万円。納税者とその扶養家族が対象になる。財務省などによると、1人で2人分の減税効果となるのは、例えば世帯主の夫の扶養に入りパートタイムで働く女性の場合。年収が100万円(合計所得45万円)超、103万円(同48万円)以下で、所得税がかからないが住民税を支払う場合に生じる。
 このケースの場合、女性の合計所得が48万円以下だと、納税者である夫の所得税と住民税から、女性の減税分計4万円が差し引かれる。さらに、女性の合計所得が45万円を超えると住民税が生じ、4万円の減税効果が受けられる。合計で1人8万円の減税となる計算だ。
 政府は制度設計の段階でこうしたケースを想定していたが、通常の「1人4万円」を超過した分の還付は求めていない。
 鈴木氏は12日の会見で、こうしたケースを防ごうとすると膨大な事務コストが発生すると説明。「公平性の配慮が重要であると同時に、企業や自治体の負担に配慮することも重要だ」と述べた。
 東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「所得税と住民税を組み合わせた複雑な制度設計に無理がある」と指摘した。