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3兆円規模の為替介入か 円急騰後、荒い値動き 東証1000円超下落


3兆円規模の為替介入か 円急騰後、荒い値動き 東証1000円超下落 7月11~12日の円相場の推移(LSEGによる)
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 円相場が一時1ドル=157円40銭まで急騰した11日の外国為替市場で、政府・日銀が3兆円規模の円買いドル売り介入に踏み切っていた可能性があることが12日、日銀の統計に基づく市場関係者の推計で分かった。政府は介入の有無を明らかにしておらず、12日の東京市場は介入観測から朝方は157円75銭を付けたが、その後ドルが買い戻されて159円45銭まで円が下落するなど荒い値動きとなった。
 円高進行が逆風となって株式市場では日経平均株価が大幅反落し、終値の下げ幅は1033円34銭と約3年5カ月ぶりの大きさとなった。
 その後、12日のニューヨーク外国為替市場で円相場は対ドルで上昇し、157円台前半を付ける場面があった。
 日銀は12日、金融機関が日銀内に開設している当座預金の増減要因を発表した。11日の為替取引の決済が反映される16日の残高が、為替介入を含む「財政等要因」で3兆1700億円減るとの見通しが判明。市場予想は2千億~4千億円の増加だったため、差額が介入による要因と推計された。
 ただ鈴木俊一財務相は12日の閣議後記者会見で「コメントを控えるのが基本的な立場だ」と説明。為替政策を指揮する神田真人財務官も記者団に「何もコメントしない」と介入の有無については言及を避ける一方、円安で「輸入物価が上がり、普通の人の暮らしが脅かされるとすれば問題だ」と市場をけん制した。
 東京外国為替市場の午後5時現在は、前日比2円41銭円高ドル安の1ドル=159円21~23銭。ユーロは2円04銭円高ユーロ安の1ユーロ=173円15~19銭。日経平均株価の終値は11日に史上最高値の4万2224円02銭を付けていたが、12日は円高進行で輸出関連株が売られたことなどで急落し、4万1190円68銭で取引を終えた。
 円急騰のきっかけは、11日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)。上昇率が市場予想を下回ったことで米国のインフレ鈍化傾向が強まったと受け止められ、米長期金利が低下。日米の金利差縮小を意識した円買いドル売りの動きが強まったことに加え、介入が実施されたとの観測も広がり、11日のニューヨーク市場では一気に4円以上、円高が進んだ。