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黒田日銀、物価2%楽観 異次元緩和1年、14年議事録


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 日銀は16日、2014年1~6月の金融政策決定会合の議事録を公開した。黒田東彦総裁が「異次元」と銘打った金融緩和政策の開始から1年が経過し、2%の物価上昇を2年程度で達成する目標の見通しを巡る議論が焦点だった。政策委員9人のうち懐疑的な見方を示したのは一部で、消費税増税の影響も「想定内」として目標達成へ楽観ムードが強かった。
 しかし、日銀が指標とした消費者物価上昇率は夏以降、原油安や増税による消費低迷で急低下。黒田氏率いる日銀はデフレ脱却に向けて10月に追加の金融緩和を余儀なくされたが、その後も目標は達成できなかった。
 4月30日の議論は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示す15、16年度の物価上昇率が中心だった。当時は生鮮食品や増税の影響を除き、4月に前年同月比1・5%まで上昇。市中に大量のお金を供給する異次元緩和で円安ドル高が進み、輸入品の価格が値上がりしていた。
 緩和推進派の岩田規久男副総裁は「(目標達成の)確実性はむしろ高まっている」と強調。森本宜久審議委員は、15年度中に2%程度に達するとの見方を示した。議長の黒田氏は「見通し期間の中盤ごろに2%程度に達する可能性が高いとの見方が多かった」と総括。15年度の上昇率を1・9%、16年度を2・1%とする案を示した。
 この案に3人が反対。木内登英審議委員は「円安の効果が徐々に剝落していく可能性が高い」として夏場以降に1%を割り込むと指摘した。白井さゆり、佐藤健裕両審議委員も疑問を呈した。