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ジューシーに魅せられて「手軽に作って」商品開発 食べ歩き300種、SNSで発信 じゅーしーにぃにぃ・小村稜さん


ジューシーに魅せられて「手軽に作って」商品開発 食べ歩き300種、SNSで発信 じゅーしーにぃにぃ・小村稜さん 「ジューシーの魅力を多くの人に伝えたい」と話す「じゅーしーにぃにぃ」こと小村稜さん
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子

 沖縄の郷土料理「ジューシー」に魅せられ、県内各地を食べ歩くだけではなく、その魅力を発信し、認知度向上を図っている男性がいる。「じゅーしーにぃにぃ」の名で活動している小村稜(おむらりょう)さん(34)だ。食べたジューシーは300種類以上。ジューシー愛が高じて、県外のイベントでジューシーを販売しているほか、沖縄ハム総合食品(オキハム)の協力を得て「ジューシーの素(もと)」も製造した。

 出合いは8年前。どんなものか分からずに、沖縄そば屋で注文したのがジューシーだった。県外の炊き込みご飯とは異なり、豚のだしを使ったジューシーのとりこになった。

 北海道出身の小村さんがジューシーの魅力を広く伝えようと決意したのは、宮古島の若者が「ジューシーって何?」と口にしたことだ。チャーハンの方が身近だという若者の言葉に「当たり前にあるけれど、そのうち家庭の味も受け継がれなくなるのでは」と危機感を抱いた。

 デジタルマーケティングが本業で、食品業界とは無縁だったが、ジューシーの歴史や文化について調査し、琉球料理保存協会にも入会。そして、ほぼ毎日、ジューシーを食べ歩いた。

 ジューシーと言えば、炊き込みご飯に近い「クファジューシー」と雑炊に近い「ヤファラジューシー」に大別されるが、300種以上を食べ歩いた小村さんは、ご飯の形状、具材、味などさらに細かく特徴を記録し、インスタグラムで発信している。「沖縄そばのサブのような存在だが、ジューシーは奥深く、沖縄料理の代表になれる」と強調。「海外でも米は食べられているので、海外展開の可能性もある」と確信している。

 主に県外からの「ジューシーをもっと手軽に楽しみたい」という声に応えるため、炊飯器がなくても作れる混ぜ込みタイプのジューシーの素をこのほど製造した。食べ歩きや県外で販売した経験を基に作った自信作だ。「県外での認知度アップ、県民がジューシーの魅力を再発見するきっかけになれば」と話す。

 小村さんの「オリジナルジューシーの素」は10月11日まで、クラウドファンディングYUIMAで予約販売中。

 (玉城江梨子)

だし、味付け個性豊か

 クファジューシーは米や豚肉、ニンジン、ひじきなどの具材を豚のだし汁で炊いた炊き込みご飯と定義されるが、県内各地を食べ歩いた小村さんによると、クファジューシーでもパラパラのチャーハン系、しっとりしたピラフ系、もち米を含んだおこわ系に分かれる。麦や黒米が入っているものもあるという。

 だしも、かつお節や昆布、シイタケのだしを使っているものもある。「以前はしょうゆやサラダ油をたっぷり使った濃いめの味付けが多かったが、最近はだしがきいたものが多くなっている。それぞれのお店の個性やこだわりを感じる」と分析した。