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CO2、8割減「花ブロック」開発 南城・大城ブロック工業 バイオマス燃料の灰活用


CO2、8割減「花ブロック」開発 南城・大城ブロック工業 バイオマス燃料の灰活用 大城ブロック工業の大城社長(左端)と新里常務(右端)、SHIMA Factoryの富山代表(左から2人目)、リュウクスの謝花社長(右から2人目)=10日、南城市の大城ブロック工業
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 大城ブロック工業(南城市、大城和吉社長)はバイオマス発電で使用したパームヤシ殻の燃焼灰を原料とすることで、セメントを使う場合に比べて製造過程での二酸化炭素(CO2)排出量を80%抑えた「花ブロック」を開発した。花ブロックは沖縄独特の建築資材として知られ、目隠しや日よけ、風通しなどの機能がある。琉球大工学部の富山潤教授が立ち上げたスタートアップ(新興企業)「SHIMA Factory」やリュウクス(うるま市、謝花一成代表)と共同開発した。

 SHIMA Factoryは燃焼灰を活用したコンクリート「しまジオポリマーコンクリート」の開発技術を確立し、これを応用した。今回の花ブロック開発を足掛かりにさまざまな商品展開を検討する。

 一般的なコンクリートは砂利や砂を混ぜ固める「接着剤」の役割としてセメントを使う。セメントの製造過程で石灰石を高温で加工するため、CO2が発生するが、中城バイオマス発電所(うるま市)で発生するパームヤシ殻の燃焼灰は植物由来のために計算上のCO2排出量が相殺される。

 その燃焼灰を接着剤の役割を果たす「活性フィラー」に加工して利用するため、コンクリートに比べてCO2排出量が大幅に低減できる仕組み。

 現状、生産コストはセメントを使ったコンクリートブロックの1・5~2倍。生産体制も大きくないため、あくまでセメントの役割を補完する形というが、SHIMA Factory代表の富山教授は「強度や流動性も十分確保できている。量産が進み、他の原料調達も県内から進めばコストも下がる」と説明した。

 リュウクスはこれまでバイオマス発電の燃焼灰を引き受け、土質改良剤を製造してきた。コンクリート製造への供給で販路拡大を目指す。大城ブロック工業によると、この花ブロックは受注生産となるが、既に民間事業や公共事業から問い合わせもある。

 大城ブロック工業の大城社長は「CO2の削減にも貢献でき、離島県の沖縄なので資源の循環にも役立つ」と強調した。

 (島袋良太)