180世帯分のCO2排出を削減 県西原浄化センターで、汚泥のガスからバイオマス発電


この記事を書いた人 琉球新報社
バイオガス用の発電設備について説明するにしはらバイオエナジーの大城邦夫社長=20日午前、西原町の県西原浄化センター

 下水処理の際に発生する消化ガスを燃料にしたバイオガス発電が、西原町の県西原浄化センターで今月始まった。県と民間企業6社による官民連携の取り組みで、これまで焼却処分していた消化ガスを有効活用し、再生可能エネルギー由来の電力として沖縄電力などに売電する。年間の発電量は標準家庭330世帯分に相当する1060メガワット時を見込む。

 県の浄化センターでの官民連携の発電事業としては具志川、宜野湾に続き3カ所目となる。今回発電を担う「にしはらバイオエナジー」は、沖縄ガスや沖縄ガスニューパワーを中心に県内企業6社で構成する。

 下水汚泥などバイオマス資源を燃料とする発電は二酸化炭素(CO2)を排出しないものとみなされる。県は汚泥のメタン発酵で発生する消化ガスを年間約1400万円で売却するほか土地も有償提供し、収益を県西原浄化センターの維持管理費に充てる。

 にしはらバイオエナジーは自社で導入した設備で発電し、再エネの固定価格買い取り制度(FIT)を通じて沖縄電力に売電する。小売事業者の沖縄ガスニューパワーを通じて、西原町内の工業団地などに供給する。

 事業期間は20年。消化ガスの活用によるCO2削減量は年間720トンで、一般家庭の排出量(4トン)の180世帯分になるという。

 にしはらバイオエナジーの大城邦夫社長は「再生可能エネルギーの有効利用拡大を図り、地域のSDGsの取り組みを支援していく。地域資源のバイオマスを県内企業で活用し、地産地消型の経済の仕組み構築に取り組む」と話した。
 (當山幸都)