有料

世直し系YouTuber モバプリの知っ得[244]


世直し系YouTuber モバプリの知っ得[244] イラスト 小谷茶(コタニティー)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

動画投稿サイト「YouTube」に動画を投稿するクリエイターは多くいますが、最近では「世直し系YouTuber」【※1】が話題となっています。街で痴漢や盗撮、違法駐車をしている人に対して説教し、時には取り押さえる動画を投稿する人たちです。悪い人が懲らしめられる動画を見てスカッとする人もいるでしょう。しかし、警察でもない個人が、「こいつが悪者です」と動画を撮影し、取り押さえるのは、一歩間違えると重大な冤罪につながる可能性も指摘されています。

警察や裁判所などではない個人や集団が、「あいつは悪いやつだから罰を与えてやろう」とすることを「私刑」と呼びます。英語の「lynch(リンチ)」の方がなじみのある言葉かもしれませんね。SNSやネットでは、同じような考えの人たちが交流を繰り返すことで、意見がどんどん過激になっていく「エコーチェンバー現象」というものがあります。視聴者とYouTuberの間でエコーチェンバー現象が発生すると、「もっと街中の悪い人を懲らしめてほしい」と過激になり、集団リンチへ発展する恐れがあります。

過激な行動をして逮捕される「迷惑系YouTuber」や有名な人を追い回す「突撃系YouTuber」なども度々問題となります。問題行動を起こすYouTuberが悪いのは言うまでもありませんが、それを応援したり、後押ししたりする視聴者も共犯関係です。面白がって見ているだけのつもりが、ある日とんでもない事件に発展し、後悔することになるかもしれません。自分が普段見ているYouTuberに問題がないか、いま一度確認してみましょう。

~ 言葉の解説 ~

「世直し系YouTuber」 … 「私人逮捕YouTuber」「パトロール系YouTuber」などと表現されることもあります。基本的に犯人を逮捕できる権利は、警察などにしかありませんが、目の前で犯罪が行われている場合など条件を満たせば警察以外の人間でも逮捕することができます。しかし、「世直し系YouTuber」は条件を満たしていないにも関わらず「私人逮捕」と言いながら取り押さえ、動画で顔などをさらし、一方的に「悪いことをした人」と発信しています。

モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

https://mobileprince.jp/