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自分の「当たり前」大切にして 全国高校定時制通信 生徒生活体験発表会 金城さん(泊高1年)が文科大臣賞


自分の「当たり前」大切にして 全国高校定時制通信 生徒生活体験発表会 金城さん(泊高1年)が文科大臣賞 文部科学大臣賞を受賞した泊高校午前部の金城琉夏さん(中央)と上地さとみ校長(右)と下地貴子教諭=29日、那覇市の同校
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 県立泊高校午前部1年の金城琉夏(るか)さん(16)が19日、東京都で開かれた第71回全国高校定時制通信制生徒生活体験発表大会で最高賞となる文部科学大臣賞を受賞した。

 不登校を乗り越えた過去の経験を元に書いた作文を発表した金城さんは「泊にいたからこそ書けた。賞は恩返しだと思っている」と喜んだ。社会がつくる「当たり前」に苦しむ人に向けて、自分の「当たり前」を大切にしてほしいと伝えている。

 大会は全国の定時制・通信制高校の生徒が学校生活で感じ、学んだ体験を発表するもの。県代表として全国大会に出場した金城さんは、60人が出場した予選を上位15位で突破し同賞に輝いた。同校によると同賞の県内での受賞は2年ぶり5人目。

 金城さんは「当たり前の多様化」と題して発表した。金城さんはADHD(注意欠陥多動性障がい)やアスペルガー症候群の傾向がある。自分にとって学校で「普通」に過ごすことが苦しくなり、小学4年で不登校になった。「当たり前」に通えないことへの劣等感に苦しんだが、母親の支えもあり泊高校への進学を決意した。

 高校ではクラスメートのほぼ全員が学校に行けなかった経験があると知り、「当たり前」に屈することなく乗り越えた仲間と尊敬し合える関係を築けた。発表では「みんながそれぞれの当たり前を持っているのだ。だから怖がらなくていい。自分だけの当たり前を見つけよう」と結んだ。

 過去の経験や自分の気持ちと向き合うため、国語科教諭の下地貴子さんがインタビューで聞き取った言葉を元に、金城さんが文章にした。下地さんは「自身の過去と向き合うのは苦しかったと思う。文章にして客観的に見る、発表で気持ちをさらけ出すことで成長につながった」とたたえた。

 金城さんは「『当たり前』につまずく人に、あなたは一人じゃないと伝えたい。同世代など多くの人にも作品を伝えたい」と話した。金城さんの作品は、琉球新報のウェブサイトに掲載している。(高橋夏帆)