教員採用試験は教職の専門性に関わるもので、教職教養や一般教養の試験を安易に免除することは教職の専門性の低下につながる。専門職たり得る試験である必要があり、教員不足が深刻とはいえ専門性を低下させる施策は問題だ。県教委が示している「沖縄県教育委員会が求める教員像」では幅広い教養や専門性を求めており、その方針にも矛盾している。
県は2022年、教員採用試験の受験年齢の上限を45歳から59歳に引き上げた。また県内で臨時的任用教員(臨任)の経験などがある者を対象にした1次試験(一般教養・教職教養試験)免除の資格要件を「7年間に通算5年以上」から「5年間に通算3年以上」と緩和した。
これらの施策により何人が受験し、合格して教育現場にどんな影響があったのか。調査・公表する説明責任が教育行政には求められる。制度を変更するには、制度変更の合理的な理由がなければならない。
確かに教員不足への対策は急務だ。しかし、急場をしのぐような施策で教職の専門性を低下させてはならない。受験者を集めるだけの施策になってはいないだろうか。
(教育行政学)