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郷土史 語り継ぐ教育模索 沖縄県小中歴史講演会 教材開発など議論


郷土史 語り継ぐ教育模索 沖縄県小中歴史講演会 教材開発など議論
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 沖縄県小中学校歴史教育研究会が3日、那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で県小中学校歴史教育講演会を開催した。「郷土の歴史・文化を次世代に語り継ぐための教育の在り方」をテーマに、登壇者と来場者が意見を出し合った。教員が学べる環境確保の必要性や活用しやすい教材の開発、興味関心を引く授業づくりなどを話し合った。来場者からは、学校で琉球・沖縄の歴史に関する授業が体系的に実施されていないことについて、教育行政の施策見直しを求める意見もあった。

 第1部では琉球歴史研究家の賀数仁然さんが歴史講演をした。第2部では賀数さん、劇団チームスポットジャンブル(TSJ)主宰の津波信一さん、同研究会副会長の山内治教諭が登壇し、来場者と意見を交わした。

 山内さんは冒頭で、「(日本復帰から51年がたち)教員も復帰などの歴史を知らない。勉強しなければ次世代に残せないが、教育現場は多忙で疲弊している」と現状を説明した。その上で「各地域で取り組みが進んでいるが、県全体の動きをつくれないか」と提起した。

 賀数さんは「教科書に出てくるのは港川人と尚巴志ぐらい。平和学習では沖縄戦を学ぶが、それ以外(の歴史)は知らない」と指摘し、教員の自主的な学びと授業づくりに任されている現状を問題視した。

 津波さんは劇団で、例えば復帰の節目では「復帰したら雪が降るらしい」など、「世間で広がったうわさを笑いに変えることで興味を引こうとしている」と説明した。

 来場者からは「琉球史を教える時間を授業で取れないか」「21世紀ビジョンでも沖縄の歴史は重要視されているが教育行政の腰が重い。琉球・沖縄史を学校で教えることは、いま沖縄で起こっていることを理解するのに必要だ」と意見が上がった。

 (嘉数陽)