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人と大自然に接する場を 北海道・美幌 移住教師がフリースクール


人と大自然に接する場を 北海道・美幌 移住教師がフリースクール 北海道美幌町
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 北海道美幌町で、大阪府枚方市から移住した元中学教師佐々木勇貴さん(38)が小中高校生向けのフリースクールを運営している。学校に抵抗を感じる子どもらの生活習慣を整え、他者と接する場づくりを重視するほか、デジタル機器に過度に依存しがちな子を集め、大自然を楽しむ合宿も開催。「小さな町だが、教育分野からいろいろチャレンジしたい」と語る。
 「ルービックキューブあるよ。俺できるようになってん」。昨年12月、佐々木さんがスクールを訪れた生徒に声をかけた。自主性を尊重するが、独りでスマートフォンやゲームに没頭する子もいて、積極的に意思疎通を図るようにしている。周りの子に一方的に話しかけてしまう生徒には「コミュニケーションには距離感も大事やで」とアドバイスすることも。
 岩手県奥州市出身。大学までバレーボールに打ち込み、2008年4月~21年12月、大阪府寝屋川市の中学で体育教師として勤めた。地方暮らしに憧れ22年、美幌町に家族と移住。経験を生かし「ゆめとこスクール」を開いた。「夢を語り、かなえるところ」との思いを施設名に込めた。
 23年7月には美幌町や近隣の網走市、斜里町などでキャンプや料理、世界自然遺産の知床散策などを体験する4泊5日の合宿を企画。東京都や道内から小学生から高校生まで4人が参加した。
 「初日の夕食はまるでお通夜みたいでした」と佐々木さん。それでも、無理やり全員で遊ばせるのではなく、小説を書きたい子が創作に集中する間はそっと見守るなど、互いを尊重して過ごすうちに打ち解けていった。
 短期間で子どもたちの変化を実感したといい「人生には出会いが大事。人と付き合うとはどういうことか、学べる機会になって良かった」。今後も一人一人に寄り添い成長を見守るつもりだ。