有料

島を挙げて受け入れ 伊江小に医療ケア児入学 父「相談する前から準備してくれた」 沖縄


島を挙げて受け入れ 伊江小に医療ケア児入学 父「相談する前から準備してくれた」 沖縄 知念愛夏さん(前列右)を囲んで記念写真に納まる両親の義和さん(後列右から2人目)、麻奈美さん(前列左)ら=4月9日、伊江小学校体育館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【伊江】伊江小学校(島袋洋校長)の入学式が9日、同校体育館で行われ、19人の新1年生が6年生の持つ花のアーチをくぐった。その中で、知念愛夏さん(6)も担任教諭に見守られながら入場した。愛夏さんはムコ多糖症ⅢB型と診断され、発語や一人での歩行が難しい。父親の義和さん(62)は「安全に楽しく学校生活を送ってほしい」と願う。

 2017年7月22日、県立北部病院で義和さん、麻奈美さん(49)のもとに生まれた。出生時、呼吸がない新生児仮死の状態だった。県立北部病院小児科の主治医が人工呼吸などを施し一命を取り留めた。その後、北部病院、中部病院と計約40日の入院を経て9月に退院した。

 義和さんは、病気について「現在、発病が確認されている患者は沖縄で16人と聞いている。進行性の病気で歩行が困難になる事例もあるそうだ。処方薬はなく新薬の開発を進めている段階だという」と説明する。

 地域の保育園に通って育った愛夏さん。小学校入学前、村教育委員会や小学校は愛夏さんの受け入れ準備を進めた。義和さんは「地元の学校に通わせたいと思っていたが、相談する前から準備してくれた」と感謝する。愛夏さんのための特別支援学級が開設され、担当の教諭も配置された。

 入学式当日は、主治医も本島から駆け付け愛夏さんの成長を喜んだ。麻奈美さんは「重度の仮死で生まれ『何があっても覚悟していてください』といわれた娘が、保育所、幼稚園を共に通った友達と同じ学校で入学式を迎えられたことは感激だ」と話す。「健康な子も病気の子も命の価値は同じだと思う。他の子にも医療ケアが必要な子の存在を知ってもらい、命の大切さなどの学びになればいい。一日一日楽しい学校生活が送れるよう私たちも娘と一緒に精いっぱい楽しみたい」と学校生活に期待を寄せた。

 (知念光江通信員)