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重大いじめ 全15件非公表 旭川市 文科省指針「公表望ましい」


重大いじめ 全15件非公表 旭川市 文科省指針「公表望ましい」 旭川市教育委員会が非公開決定を通知した文書
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 北海道旭川市の学校で2022年以降、いじめ防止対策推進法に基づき「重大事態」と認定された15件について、共同通信が事案の内容や学校などによる対応の経過が分かる文書類を開示請求したところ、市教育委員会は10日までに全て非公開とする決定をした。「個人情報」を理由とした。専門家から「再発防止のため原則公開するべきだ」との批判が出ている。
 重大事態は児童らが生命や心身、財産に被害を受けたり長期欠席したりした疑いのある事案と定義され、学校などは事態に対処し、同種事案の発生を防ぐため事実関係を調べる。結果について文部科学省は「特段の支障がなければ公表することが望ましい」と指針で明示している。
 市教委は今回の15件に事実関係の調査を終えた事案が含まれることを認めた。一方、非開示の理由を「個人情報に当たらない部分を公開したとしても、意義がないと判断した」と説明した。
 山口県の大島商船高等専門学校で16年に男子学生が自殺した問題など、いじめの調査経験が豊富な池坊短期大(京都市)の桶谷守学長(教育学生徒指導)は、被害者の意思を最大限尊重するべきだとした上で「個人情報を明らかにしなくても何が起き、どう対応したのかは公表できる」と指摘した。
 市では21年、いじめを受けた中学2年広瀬爽彩さん=当時(14)=が凍死。市教委は今年2月、広瀬さんの件以降に重大事態が15件発生したと公表していた。