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夏休み確保、奨学金肩代わり 教員志望増へ各地で対策


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 教員不足が深刻化し、採用試験の前倒し以外にも各地の教育委員会が志望者を増やす対策に乗り出している。休日確保や奨学金肩代わり、日常業務の負担軽減といった多岐にわたる取り組みで教職人気を回復させたい考えだ。
 大阪府守口市教育委員会は今年から、市立小中学校の夏休み中に設けている学校閉庁日を5日間から14日間に増やす。夏休みでも平日は出勤が原則だが、この連続した2週間に教員が休日取得できることが明確になり、同僚らに遠慮しなくて済む効果がある。期間中は研修や部活動も基本的に行わない。
 市立小の40代男性教諭は「大手を振って休めるのはありがたい」と本音を漏らす。期間中は市教委が保護者からの連絡を受ける態勢を整える予定で、担当者は「教職を目指す学生にもアピールしたい」と期待を込める。
 収入面でのサポートも広がる。山梨県教委は2021年度、小学校教員として10年間勤務するとの条件で、学生時代の奨学金の一部を肩代わり返済する制度を導入。岡山市教委は昨年度から、新たに採用した小中の正規教員を対象に「初任給調整手当」として5年間毎月2500円を支給する。
 保護者対応を学校以外が担う取り組みを始めたのは奈良県天理市教委。家庭からの相談や要望を一元的に受けるセンターを今月に開設し、元校長らが常駐している。
 市内の教員への調査で「保護者対応を負担に感じる」との回答が77%に上ったことがきっかけ。天理市教委の山口忠幸教育次長は「教員が子どもに向き合うという業務に集中しやすくしたい」と話した。