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【識者】子の主体性を重視した手法 宮島基(沖縄大准教授)


【識者】子の主体性を重視した手法 宮島基(沖縄大准教授) 宮島基(沖縄大准教授)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 通知表の廃止は長野県の伊那小学校が有名だ。伊那小は通知表よりも詳しく児童の様子を伝えようと、60年以上前に廃止し、代わりに面談や学習発表会などを重視してきた。子どもにとって望ましい評価方法とは何か、それはよい教育を考える上で不可欠の問いである。他県の実践と同様、赤道小の取り組みは通知表になじんだ私たちに新しい視点を提起してくれる。

 通知表をやめたら甘い評価にならないか、といった心配もあり得よう。だが赤道小で個票を利用した教員からは、「児童とじっくり話し合えた」「児童のよい所や課題を共有できた」といった感想が出されたという。

 この実感が示唆するのは、与えられた評価を児童が時間をかけて自分のものにするプロセスがなければ、評価は評価の意味をもちにくいということだ。厳しい評価ならなおさら納得が必要だ。

 児童が評価に加わる計画も興味深い。それは児童が自分の内面を見つめ、自身の課題を自らつくる工夫といえる。

 このように赤道小では、評価される立場の児童が能動的に評価に向き合う実践が行われているように見える。それは、学習者の主体的学びが重視される今こそ大事なことだろう。ぜひ今後に注目したい。

(教育学)