木村達哉先生
外部執筆者 Ｑ．予習をすれば成績は上がりますか？
Ａ．復習と自習で成績アップ
上がりません。予習は準備に過ぎません。予習をすれば先生の言っていることを理解しやすくなると思われます。が、予習をしなくても成績は上がります。
どうすれば成績が上がるのかを先月のこのコラムで書きました。覚えていますでしょうか。自習をして弱点をつぶせば必ず成績は上がります。ただし、自習をする前には必ず授業で理解をしておかねばなりません。先生の説明を聞き、正しく理解をするのです。英語で言うなら、aとtheの違い、to不定詞と動名詞の違い、リスニング力が上がるトレーニング方法、英語が話せるようになるためのトレーニング方法など、理解をして「そうか！ そういうことだったのか！」と納得をすることです。そのうえで、本屋さんに行って買ってきたあなたの学力に合う教材を使って自習をするのです。塾へ行っていても同じ。先生の言っていることを理解できなければお金と時間の無駄遣いということです。
さて、予習は先生の説明を理解しやすくするための準備です。しないよりはした方がいいとは思います。しかし、予習は勉強ではありません。部活動に入っている人なら分かると思います。ボールの準備をしたり、グラウンド整備をしたり、実験器具や楽器を並べたりするのが準備です。それらをすると部活動はしやすくなりますが、強くなったり上手になったりするわけではありません。大切かもしれませんが、本質的ではありません。予習はしていないけれども、復習と自習に心血を注ぐ生徒の方が確実に成績を上げます。
灘校生といえば頭の良い真面目な生徒たちだと思うかもしれませんが、彼らはあまり予習をしてきません。予習をしてくるように指示しても大半がしません。予習に時間を割くよりも、先生の言ったことを復習したうえで、自分がこれだと思って買ってきた教材に取り組む時間を確保することを大切にするからです。私は予習を禁止にしていました。予習が勉強だと勘違いされると困るからです。それよりもしっかりと復習をし、自習をしてほしかったのです。
昭和時代に「予習、復習を大切にしよう」という標語のようなものがあって、僕もそう思ってきました。確かに予習をした方が効果的なこともあります。が、それ自体は勉強ではないのだということを知っておきましょう。
（2023年12月10日付りゅうPON！掲載）
