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強制的出向、違法と提訴 奈良教育大付属小の教諭ら


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 奈良市の国立奈良教育大付属小の教諭3人が6月12日、同意をしていないのに強制的に市立小への出向を命じられたのは労働契約法や教育基本法に反するとして、大学を設置する国立大学法人奈良国立大学機構を相手取り、出向が無効であることの確認を求め奈良地裁に提訴した。
 訴状などによると、付属小ではこれまで公立校への出向は実施されていなかった。付属小は1月、学習指導要領に沿わない指導があった問題を公表。大学側は教職員の固定化が問題につながったとし、改善策として教諭の他校への出向方針を打ち出した。方針に同意できないとする原告3人に対し、4月付で奈良市立小への出向を命じた。
 原告側は、大学側の命令は必要性や根拠を欠いており、権利の乱用に当たると主張。出向先での適切な地位や労働条件も保障されておらず、出向先で勤務する義務がないと訴えている。
 問題を巡っては、複数の教科で定められた授業時間が不足していた他、毛筆による書道が実施されなかったことなどが判明した。大学側は付属小内で教科指導の研究が盛んに行われ、独自の教材を優先して使用したことなどが原因とし、人事交流の活発化により「開かれた学校にする」と出向方針を公表。これに対し教育関係者や保護者らから「自由な校風が失われる」などと反対の声が上がっていた。
 機構は取材に「訴状が届いておらずコメントできない。届き次第、対応を検討したい」とした。