北海道根室市のプロレス愛好家団体を題材にしたドキュメンタリー映画「無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語」が2024年1月から全国の映画館で公開されている。県内では3月1日まで那覇市の桜坂劇場で公開されている。設立から団体代表のがん闘病に伴う解散、再結成までを追った。制作した北海道文化放送(UHB)の担当プロデューサーは「家族愛や友情に満ちた作品。幅広い層に見てもらいたい」としている。
新根室プロレスは06年、同市の玩具店経営、故サムソン宮本(本名・宮本隆志)さんが地元漁師や酪農家らと旗揚げ。オークションサイトで中古のリングを100万円で購入し、神社の秋祭りなどで興行してきた。
17年に転機が訪れた。宮本さんが体長3メートルの着ぐるみ選手「アンドレザ・ジャイアントパンダ」を“発掘”。デビュー戦が交流サイト(SNS)で話題を集め、人気は全国区となった。
同年、宮本さんはがんの一種の「平滑筋肉腫」と診断され、病との格闘が始まった。19年9月、治療に専念するため同年末での解散を発表。翌20年、55歳で他界した。
その後、生前に残したビデオメッセージで存続を望んでいたことが判明。「オッサンタイガー」のリングネームで活躍する弟賢司さんは「ビデオを見終わると涙が止まらなかった。再結成に向け一気に背中を押された」。
新型コロナウイルス禍が落ち着いた昨年6月、隣の別海町の祭りで復活。待ちわびたファンが全道から集まり、会場は熱気に包まれた。
21年に地上波で放送したドキュメンタリー番組を基に、未公開映像や追加取材を加えて再構成。吉岡史幸プロデューサーは「サムソン宮本さんは日本の端で苦労しながら生きる人たちを集め、リングの上で輝かせた。その優しいまなざしに触れてほしい」と話した。
(共同通信)