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西仲美咲、沖縄ジャズの歩みをフルートで 民謡や定番、味わい深く ゲストに安富祖貴子も


西仲美咲、沖縄ジャズの歩みをフルートで 民謡や定番、味わい深く ゲストに安富祖貴子も 観客を魅了した(右から)西仲美咲、安富祖貴子、竹内大輔=7月27日、沖縄市プラザハウス3階ライカムアンソロポロジー
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉手苅 友也

 うるま市出身のジャズフルート奏者・西仲美咲が7月27日、沖縄市にあるプラザハウスの創業70周年を記念したコンサート「レキオヒストリアとジャズ」をプラザハウス3階ライカムアンソロポロジーで開いた。

 米統治下の時代に発展した沖縄のジャズとプラザハウスの歩みを重ねた企画。ジャズピアニスト竹内大輔とのデュオで「沖縄の先人たちが紡いできた音楽を未来へ手渡したい」とジャズアレンジした沖縄の曲やジャズの定番曲を演奏した。サプライズゲストにジャズシンガー安富祖貴子が出演した。

 「かぎやで風」のイントロから「A列車で行こう」で幕を開けた。スタンドマイクの前に立ち、アルトフルートに小刻みに息を吹き込む演奏は、ハスキーなジャズシンガーの歌声のような音を響かせた。

 西仲は、米軍基地内で経験を積んだ沖縄ジャズ界の重鎮・故屋良文雄と共演を重ねていた。当時「沖縄の曲がジャズになるのか」と衝撃を受けた「てぃんさぐぬ花」も演奏した。ぬくもりのあるフルートを聞かせ、間奏ではハーモニーや音の数の多さでジャズ調へと変身させた。

 リズミカルなワルツ風に仕上げた「赤田首里殿内」、即興的な演奏で楽しませた「カミン・ホーム・ベイビー」と続け、「テネシーワルツ」などを安富祖が歌った。ソウルフルな歌声で伴奏とのグルーブ感を感じさせ、ジャズに酔いしれた観客の高揚感をさらに加速させた。

 クライマックスの「谷茶前」は、フルートの踊り出しそうなテンポのメロディーと、ピアノが琉球音階とジャズ調を行き来する自由さが際立った。

 アンコールは「オー・シャンゼリゼ」で観客も一緒に歌い盛り上がった後、「えんどうの花」をしっとりと聴かせた。情趣あるピアノソロから入り、フルートの自在な高低音が味わいを深めた。観客は特別な夜を満喫した。  

(嘉手苅友也)