今秋全国公開! 「島ぜんぶでおーきな祭 第16回沖縄国際映画祭」上映作品、『おしゃべりな写真館』(3ページ目)


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記憶に残り続ける沖縄の海景色

―沖縄ロケの映画も作っていただきたいです。今後全国上映される本作ですので、改めて見どころを教えてください。

監督:沖縄でも撮影したいです。喜んで来ますのでよろしくお願いします(笑)。

賀来:人間再生を描いた作品だと思っています。北海道の自然の雄大さと厳しさがあるからこそ育まれる景色や人の心があり、そこに触れたみんながそれぞれ再生していきます。中原さんが演じる雄二さんは妻に先立たれたカメラマン。確執があった妻の父が亡くなったことをきっかけに妻の故郷・鹿追町に行きますが、目を患った失意の中で麻衣ちゃんという少女に出会い再生していくと思うんですね。麻衣ちゃんも再生しますし、私が演じた敬子も夫や父に思いを届けたかったはずです。北海道の自然に包まれたからこそ、成立した物語だと思っています。沖縄も誰もが行きたいと憧れる青い海があり、本州の他の地域にはない風土の中でたくさんのものが育まれていて、北海道と共通しているところがあると思うんです。共感できる内容があるのではないかと感じていますので、まだ本作を見ていない沖縄の方にもご覧いただきたいです。

中原:最近の映画は、暴力やけんかの場面があったりする内容が多いですよね。本作はそれが全くなく、人と人の心の触れ合いの中で始まって終わる映画です。昔はこういう映画がたくさんあったような気がしますが、今はテレビドラマにもありません。この時代にあえて作ったといえる作品だからこそ、楽しんで見ていただきたいです。

山木:中原さんと賀来さんがおっしゃられた通りです。個人的には、演じた麻衣という女の子は孤独を感じて寂しくて悲しい気持ちだったと思っています。そして心に深い悲しみを抱えた雄二さんと北海道の十勝で出会い、お互いを気に掛けて支え合っていきます。そうやって成長していく麻衣が描かれていますので、ぜひ見てください。

―最後に賀来さん。沖縄の思い出を教えてください。

賀来:私はモデルから女優になりましたが、モデル時代の最初の大きなお仕事が埼玉銀行のポスターでした。その撮影場所が久米島だったんですよ。健康的な水着を着てリーフで撮りましたが、海が本当にきれいでとてもとても感動しました。モデルは2人で、もう1人の方は経験があって上手に水しぶきをあげることができるんですが、私は初仕事に近い新人で慣れていなくてバッシャーンって感じで下手でした(笑)。そんなことも楽しくて、スタッフの方にも恵まれてすてきな思い出です。到着前に飛行機の窓からエメラルドグリーンの海が見えた時も感動しましたし、今でも鮮明に覚えています。今回は飛行機の座席が真ん中で景色が見えず、残念だったんですよ(笑)。

―何年経っても、最初の感動を覚えてくださっているのはうれしく思います。これからも時々来ていただきたいです。

賀来:ドラマのロケでも来ていますし、また早く来たいです。私ジーマーミー豆腐が好きですし、一番大好きなのが島ラッキョウなんですよ。東京の催事で島ラッキョウを見つけたら買います。ちんすこうも好きですね。今日も舞台あいさつの時の控え室にあったので、誰よりも先にいただきました(笑)。沖縄は素晴らしいところで、いつでも行きたいと多くの方が思う場所ではないでしょうか。日本の歴史においても、私たちが知るべき大事な部分が沖縄にはあると思っています。

インフォメーション

『おしゃべりな写真館』

2024年/日本
監督:藤嘉行
出演:中原丈雄、山木雪羽那、賀来千香子、橋爪功、水町レイコ、上地慶、小宮孝泰、中川和惠、なすび他

公式サイト https://syashinkan.warabifilm.co.jp

劇場:イオンシネマ

(c)和ら美
饒波貴子 のは・たかこ

那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。

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