宅建士受験者 10年で1.4倍 18年度・県内 不動産市況の活況背景


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 県内地価の上昇が続く中、不動産売買の国家資格「宅地建物取引士(宅建士)」の受験者数が増加している。県内の受験者数は2009年度の2399人から18年度は3262人に増えており、10年で約1・4倍になっている。18年度の受験者数は統計が残る1988年度以降で、バブル経済期の90年に次ぐ過去2番目に多い人数だった。不動産業者だけでなく土地の取引・評価に関わる金融業、建設業の受験割合も高いほか、一般の企業でも不動産事業に乗り出す企業の従業員や、就・転職に向けた個人の資格取得の動きも増加の要因と考えられる。

 県宅地建物取引業協会の知念聡会長は「過去の例を見ても、地価が上昇し、不動産取引が活発化すると受験者数も増える傾向がある」と分析した。

 宅建士の受験者数は90年に3648人のピークを記録するが、バブルが崩壊した93年以降は2006年まで千人台に落ち込んだ。下落が続いていた県内地価が上昇に転じていくのに合わせ、11~18年度は8年連続で増加している。最も少なかった2001年度の1311人と比較すると、18年度は約2・5倍の水準となっている。

 10月20日に予定される19年度の試験には4358人が申し込んでいる。実際の受験者数は3500人ほどになる見込みだ。

 職業別では不動産と金融、建設の割合が高い。金融業は融資の際に担保となる不動産の価値を的確に把握するために有効で、建設業は独自にアパートやマンションを建築し、販売する際に活用しているとみられる。その他、市況の活況を背景にして不動産事業を新たに始める企業の従業員が資格取得を目指す動きなどが考えられる。学生や主婦の受験者も多いといい、資格があることで手当支給やさまざまな企業で活用できることが要因とみられる。

 知念会長は「不動産取引の円滑化やトラブル防止の観点から、不動産業者以外の資格保持者が増えることは好ましいと考えている。2020年度以降の予測は難しいが、現在の不動産市況が続けば受験者数も増えるだろう」と語った。

 (外間愛也)