J2残留見えた!さらなる高みに FC琉球、12日に県総で東京V戦


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 サッカーJ2のFC琉球(15位)は前節、アウェーのアビスパ福岡戦(5日)で勝利し、半年ぶりに敵地で白星を手にした。7試合を残して勝ち点を40とし、ここ3年のJ2残留ラインに乗せた。だが慢心はなく、週の初めには樋口靖洋監督から「勝ち点50を目指そう」と新たな目標が据えられた。チームは12日の13位・東京ヴェルディ戦(午後6時、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム)へ向け、さらにギアを上げていく。

 琉球はここ5試合は負けがない。劣勢が続いた福岡戦はしっかり守り切り、後半45分には上里一将が放ったFKから生じたこぼれ球を上原慎也が押し込み、決勝点とした。

 夏の移籍期間は選手の出入りが多く、ちぐはぐな連係から負けが続いた時期もあった。指揮官の教えが徐々に浸透し樋口監督も「耐える時間と攻める時間のメリハリがついている」と評価する。リーグ最多の失点数も、2試合連続でゼロで抑えている。

 だがまだ課題も残る。5バックで引いて守る福岡に対し、ワントップの山田寛人とトップ下の上門知樹のアクションが少なかった。攻めあぐね、逆にカウンターをもらう危機も招いてしまった。

 対する東京Vは琉球と同様、ポゼッション志向でゴールまでしっかりパスをつなぎ攻め入ってくる。ここ3試合は負けが続いているが、決して侮れない。樋口監督は「本当にうまいチーム。攻守の切り替えを意識したい」と力を込めた。

攻撃ギア入れる〝金狼〟/存在感放つ小泉佳穂

練習から気合の入ったプレーを見せる小泉佳穂(右)=9日、中城村のごさまる陸上競技場

 福岡戦の後半34分、味方が残したボールを持ってそのまま駆け上がり、DFを2枚かわしてのシュートが強烈な印象を残した。ボールは枠の外にわずかにそれたが、ピッチで存在感を放ったのは背番号28の小泉佳穂(23)だ。フリーでボールを引き出して仕掛けたり、細かなパスを回して試合をつくったりと琉球の攻撃を加速させている。「まだまだ満足していない。次こそは」。急成長中の金髪のストライカーは活躍を誓っている。

 東京都出身で、前橋育英高、青山学院大とサッカーの名門校でプレーしてきた。高校時代は全国総体の大会優秀選手にも選出されるなど、実力はお墨付きだ。172センチと上背はないものの、絶妙なポジション取りや、足元の器用さからチャンスをつくる。

 開幕から徐々に出場機会は増えていき、町田戦はトップ下で初先発した。チャンスを量産したものの、樋口靖洋監督は「試合をつくることはできるが、もう一皮むけなければならない」。期待値の高さゆえに、厳しい。

 「気持ちを入れ替える。プレーで見返したいが、まずは、きっかけをつくりたかった」と3カ月前に黒髪から金髪に染め上げた。まだ得点こそないが、守備にも積極的に参加するなど、チームの活躍を後押し。「得点に絡むという、やるべきことをやりたい。一つでも上の順位に行く」と静かに、闘志を燃やしている。
 (喜屋武研伍)