軟弱地盤に杭7・7万本 辺野古工事で技術検討会 県、長期化と環境影響懸念


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大浦湾側に向かって工事が進むK8護岸=6月6日、名護市辺野古

 名護市辺野古の新基地建設を巡る軟弱地盤の改良工事で、政府は追加の地盤改良工事をすれば所要の安定性を確保して、工事を行うことが可能だと説明している。90隻を超える作業船を用いて約7万7千本の砂杭(ぐい)を海底に打ち込む政府の工事計画は大規模なものだ。県は工事の長期化や費用増大のほか、土砂による水の濁りなど海域生物に及ぼす環境への影響にも懸念を示している。

 政府は工期は海上工事で3年8カ月、陸上工事で1年程度を想定している。軟弱地盤は水面下約90メートルに達するが、水面下70メートルまでしか改良しない予定だ。未改良の部分が残り、経年的に地盤沈下が起こる可能性がある。

 国内には最大で70メートル程度の深さの地盤改良に対応する作業船しかない。

 海底に敷砂を投入した後に砂杭を打ち込む計画で、650・9万立方メートルの砂が必要だ。県内だけで調達しようとすると、3年半~5年ほどかかることになる。

 県は「サンゴ類、海藻草類などの海域生物や海域生態系に影響を及ぼす懸念がある」と指摘している。杭は水深のある施工箇所では汚濁防止膜などで覆っても海底まで届かず、巻き上げられた砂で濁りが広がる懸念がある。国は拡散シミュレーションを行っておらず、具体的な対策を示していない。