新たな型追加、空手豊かに 県博・田名館長講演


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琉球王国時代の史料から空手について語る県立博物館・美術館の田名真之館長=9日、県庁講堂

 県空手振興課は9日、空手の学術研究を推進するため「沖縄空手アカデミー」を県庁講堂で開いた。アカデミーは沖縄空手に関する研究の報告会として全6回開かれる予定で、9日が初回となった。県立博物館・美術館の田名真之館長が「近世琉球の空手関連史料」のテーマで講演し、琉球王国時代の空手関連の記録などを説明した。

 田名さんは琉球が「非武装平和国家」だったために空手が生まれたとされる話に対して、1500~1700年代の史料には、琉球に武器があったことを示す記述があることなどを説明。東南アジアとの貿易が盛んで、琉球の人々は中国から手に入れた陶磁器などのほか、中古品の刀などを売る武器商人でもあったことを示した。

 中国で空手を修行した可能性について、当時の進貢や接貢の滞在は期間が短く、長く滞在できても経費も発生したため「困難が伴う」との考えを示した。一方、空手の発展について「冊封使の従者から学び、福州で学び、伝統の型をしっかり継承しつつ、近世から近代の多くの先達が新たな型(形)をつくり上げ、追加して現在の空手をより豊かなものとしてきた」と語った。

 また、空手にまつわるさまざまな逸話が出てくることについて「必ずしも事実関係からすると違う話があるが、多くの空手の物語が出てきていること自体が、空手が生まれてきた背景とつながっている。歴史的な経験が空手と結びついている」と語った。