基地内文化財調査できず 18年度 普天間、立ち入り許可遅れ


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 県教育委員会が2018年度に予定していた基地内文化財発掘調査事業で、米軍普天間飛行場の立ち入り許可が遅れたため、現地調査を年度内に実施できなかったことが10日、分かった。県教委の施策の実施状況を調べる「事務の点検・評価報告書」で同事業が「大幅遅れ」と判断された。2015年に締結された日米地位協定環境補足協定における立ち入りの合同委員会合意において、基地返還前の立ち入りは返還日の150労働日前(7カ月強)を超えない範囲と定められたことなどが影響し、許可が遅れたとみられる。

 普天間飛行場内には100以上の遺跡があることが判明しており、滑走路の下などに把握できていない遺跡が存在する可能性もある。県教育庁文化財課は申請時期を早めるなど対策を取る予定だが、立ち入り許可の遅れが続けば遺跡発掘調査事業の計画や、返還後の跡地利用に遅れが出る懸念がある。

 文化財課によると、基地内文化財発掘調査事業は1999年からの継続事業で、18年度は普天間飛行場の国道58号側にある伊佐上原(うぃーばる)遺跡A地点を調査する予定だった。県教委は当初、18年4月に許可が下りることを想定し、同年夏ごろから調査開始を見込んでいた。

 しかし、実際に許可が下りたのは今年2月で18年度内は調査を始められず、今年9月に着手した。

 文化財課によると、環境補足協定が締結される以前は米軍側と直接やりとりし、申請から許可まで1、2カ月程度だった。締結後は沖縄防衛局を通して米側に申請するよう手続きが変わったことや、普天間飛行場の返還日が定まっていないことから、協定に基づく立ち入り許可に時間が掛かっているとみている。