離島観光 持続可能に 県振興審 適切な客数、質求める


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離島の活性化について活発な議論が交わされた離島過疎地域振興部会=11日、那覇市の県離島児童生徒支援センター

 沖縄21世紀ビジョン基本計画の総点検を実施している県は11日、振興審議会の第3回離島過疎地域振興部会(部会長・嘉数啓琉球大名誉教授)を那覇市の県離島児童支援センターで開き、離島観光の在り方などを議論した。各委員からは観光客数を増やすことを前提にした県の離島振興計画に対し「オーバーツーリズムが世界の観光地で問題になっている」「適正な観光客数を調査すべきだ」などと疑問視する声が上がった。

 県文化観光スポーツ部によると、離島への観光客数は2013年の167万人から17年は約1・7倍の271万人に増加した。離島ブームの影響などで国内外から観光客が増えている。

 一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス代表理事の上妻毅氏は「クルーズ船寄港などで離島の観光客数は増えているが、経済効果と同時に良質な観光管理が必要だ」と指摘。さらに県が人手不足対策として「外国人材の活用」を掲げていることに対し「単なる労働者ではなく生活者として支援しながら受け入れるべきだ。そうでなければ安直な受け入れを進めるべきではない」と疑問を呈した。

 琉大医学部講師の古謝安子氏は「離島観光では食事で不満を持つ人も多い。葉野菜などの栽培も支援すべきだ」と指摘。与那国町の外間守吉町長は「販路を確保したいところだが、『お世話になった人へ』と売るよりも分けてしまう」と地域のつながりが強い離島ならではの事情を説明した。

 離島経済新聞社統括編集長の鯨本あつこ氏は「地域で受け入れられる観光客数には限りがあり、世界には適切な観光客数を調査し、観光を管理している事例がある。そうした先進事例を参考にオーバーツーリズムに対するルール作りをしておくべきだ」と提言した。